疎通が生む幸せと平和~李承憲氏の脳哲学

一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏によると、脳の細胞(神経細胞)は一つ一つが離れています。このため、外部からの情報や刺激が脳に入ってくると、離れている細胞の隙間を一時的につなぐ「シナプス」が生まれます。シナプスで隙間が埋まることで、情報がスムーズに伝えられるようになります。

こうした脳のネットワークには、様々なつながり方があります。脳細胞同士はたいへん複雑につながっており、その太さも多様です。李承憲氏によると、最も強いネットワークは「習慣」です。同じ情報が続けて入って来ると、その情報を処理する神経回路が強化されていき、習慣として定着します。ちゃんと舗装されている道路では車がスピードを上げられるように、神経回路が一度作られると、これを利用して情報がすばやく処理されます。だから、一度習慣になると、変えるのは難しくなります。

李承憲氏は著書『脳哲学』で、何事もつながることで「疎通」ができ、それによって大きな価値が生まれると指摘しています。神経細胞が情報を伝えるためにつながるように、すべてのつながりの目的は疎通です。疎通がうまくできれば、あらゆるものがイキイキします。疎通できなければ争い、病気になって、死んでいきます。

李承憲氏によると、私たちは体と脳がうまく疎通すれば健康になれます。そして、自分以外の人とうまく疎通できれば、幸せを感じることができます。同じように、宗教と宗教、思想と思想、国家と国家が互いに疎通すれば、世の中は平和になります。すべてのキーワードは「疎通」なのです。