無限競争社会との決別を~李承憲氏


一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏は、著書『息する平和学』で、人間のあくなき支配欲が地球にもたらす弊害について、警鐘を鳴らしています。

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わたしたち人類は、地球上の土地や資源を所有したり支配したりすることを追求してきました。その追求は、人間を成長させ、文明を切り開く原動力になりました。しかし、そこには、常に争いがつきまといました。物質のすべては限りがあるのに、欲求は無限だからです。

李承憲氏は著書『息する平和』で、こうした人類の姿について、「息を吐かずに吸い続ける呼吸と同じだ」と指摘しています。息を吸ってばかりいると、生命は死に絶えるのと同じで、人類も「今のような無限競争の中で外的な成長を続けると、ついには私たちの文明自体が崩れてしまうだろう」と、李承憲氏は語っています。

呼吸は、生物が生命活動を維持するために行うサイクルのひとつです。吸ったら吐く、という動きはとてもシンプル。この動作が、繰り返されることによって、わたしたちは生きることができます。しかし、吸い続けるだけではいつか死んでしまいます。そう、あれも欲しいこれも欲しいと願い、人を押しのけて自分の所有物としても、いつか許容量を超え、自滅してしまうのが自然の摂理なのです。

李承憲氏は、物質的な欲求から離れて精神的なものを求めよう、というメッセージを訴え続けています。

「成長を求める人間の欲求には、決して際限がない。しかし、支配したり、所有したりできる対象には限りがある。だから、外的な成長は、いずれ限界にぶつかるしかない」。あくなき欲望と外的な成長の先には、破壊が待ち受けています。今こそ、私たち一人一人が、自らの生命の循環に意識を向け、地球との共存を図るときなのです。