脳の潜在能力の引き出し方「望みを叶える脳になる」

–月刊誌「ほんとうの時代」2009年5月号(PHP)より抜粋・要約

多くの人は、「脳は変えられるものだ」と認識していません。しかし、心(脳)は本来、「自分のもの」ではありますが、「自分そのもの」ではありません。人はもっと大きな存在であり、脳を変えることでより幸せになることができます。

脳は大きく分けて、「大脳皮質」「大脳辺縁系」「脳幹」の3つから成り立っています。大脳皮質は本能を制御し、大脳辺縁系は感情や欲求、五感などを司っています。一方、脳幹は消化・呼吸・循環など生命維持の働きを持ちます。

この脳幹に意識を集中することで、眠ったままになっている脳の潜在能力を引き出すことができれば、超人的な能力や人問本来の自然治癒力を得られることが期待できます。私はその方法を「脳教育」として提唱し、さまざまなトレーニング・プログラムを開発してきました。

人間の脳は脳全体の5パーセントほどしか使われていないといわれます。残り95パーセントを目覚めさせ、新たな能力を発揮するためのプログラムが「脳教育BEST5段階」です。「脳を日覚めさせる」(1段階)、「脳を柔軟にする」(2段階)、「脳を浄化する」(3段階)、「脳を統合する」(4段階)、そして「脳の主になる」(5段階)というステップを経て、思考や感情に振り回されず、自分のビジョンと日的のために脳を活用できるようにします。

脳教育BEST5のトレーニングをすると、健康で心豊かになり、調和の取れた人格を創造できます。平和的かつ生産的で、自分だけでなく周りの人々、世界の人々の健康や幸福を実現しようと心から願える「弘益人間」になれます。

脳教育のトレーニングの一つが「脳波振動(ネッパジンドン)」です。脳波振動は体を揺らすだけの簡単な動作によって心身の機能を正常に戻し、新しい活力を生みます。

脳波振動では、まず、呼吸を楽に繰り返し、体をリラックスさせます。次に目を閉じて子どもがイヤイヤをするように頭を左右に振ったり回転させたりします。そのとき脳の真ん中(脳幹)に意識を集中させます。すると、血液循環がよくなり、次第に緊張がほぐれて気分がよくなってきます。脳波の波動が正常化することで、脳内に喜びのホルモンが分泌されてくるからです。揺らし方は、人それぞれのやり方で構いません。要は自分が気持ちよく感じればいいのです。

私はニューヨークの学校で「脳教育」を続けてきました。ニューヨークの貧しい人たちが集まる地区では、複雑な家庭環境から心にキズを受けて無気力や投げやりになっている子がたくさんいました。しかし、脳波振動のトレーニングを始めてみると、一カ月も経たないうちに子どもたちは変わってきました。笑顔が生まれ、挨拶もするようになり、学校に来るのが楽しいと言い出したのです。その効果を評価したニューヨーク市長は今年「脳教育の日」を設定しました。

脳教育の有効性は、日本でも脳科学者による研究によって実証されています。私は日本でも3歳から12歳の子供向けの脳教育教室を開講しようと考えています。脳が作られ、人格が形成される年齢期に脳の機能を正しく導くことは、その人が人生の目標や価値の意義ある選択をすることを可能にしてくれます。

自分に自信を持ち幸せになると、自分だけの人生に終わるのではなく、人にとって有益な入生を送ろうという気持ちを持つことができます。そうした人たちが多く育つことで、全世界に健康・幸せ・平和を分かち合う理想的な社会が築けると信じています。