脳教育の魅力~学校でも、経営者にも

世界的な脳教育者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏。米国や日本など各地で脳教育を広め、ベストセラー作家としても活躍中です。そんな李承憲氏に、脳教育の魅力について聞きました。

――李承憲さんは、どのような子供だったのですか?
「子供のころは、とにかく集中力がありませんでした。10分間も集中状態が続かず、高校を卒業するまでノート1冊もとることができなかったほどです。授業では、無茶な質問ばかりしていて、たとえば、先生が四大聖人について教えると、『四大聖人というのは、誰が、どうやって決めたのですか?』とか聞いてしまうような子でしたね。先生からは『将来まっとうな大人にならないだろう』と言われていました」

――それがどう変わったのですか?
「『私はどうしてこうなのだろうか、私の脳はなぜこんなふうなのだろうか』と悩むようになり、テコンドーや合気道など、武道に関心を持ち始めました。そのおかげで、集中力も高くなり、また、脳を開発する脳教育にも関心を持つようになりました。でも、後で医者から聞いたのですが、もともと私の脳は前頭葉がとても活性化していて、脳の回転速度がかなり速いそうです。だから、その速度に合わせて教えてもらわないと、集中するのが難しいようです。今でも、学ぶことよりも、自ら悟る方が楽です」

――脳教育とは、どのようなものですか?
「脳をピアノの鍵盤だと思えば簡単です。一般に、人は毎日同じ鍵盤だけを使っています。しかし、人間の脳には数十億個の音を持った鍵盤があります。脳教育は、あまり使わない鍵盤を使おうと努力することで、脳全体を目覚めさせるものです」

――脳は年齢にかかわらず、使えば使うほどよくなるのですか?
「誤った常識のひとつに『一度破壊された脳細胞は二度と再生しない』というのがあります。しかし、そんなことは絶対にありません。脳の年齢は、脳をどう使うかによって大きく変わります。アインシュタインも自分の脳の10%しか使わなかったと言われています。一般的に、人は脳の5%くらいを使っています。私の目標は、脳を100%使うことです。使わない脳を意識して使ってみれば人生が変わります」

――子供には、どう脳教育を教えればいいのですか?
「なによりも、子どもたちに創造的な力を植えつけることが大切です。調理済みですべてが整えられた食卓を与えないでください。自ら食べるものを探したり、料理したりして、そうしながら食べる過程で脳が発達するのです。お子さんがもし勉強ができなかったとしても、叱らないでください。人格に傷を受ければ、脳も傷を受けます。グッドニュース(褒めること)がグッドブレインをつくります」

――学校でも脳教育を教えるべきですね。
「すでに、アメリカでは公立の学校教育を中心に、脳教育が導入されており、約300の学校が正規カリキュラムとして採用済みです。また、韓国では、放課後の部活動を中心に脳教育が盛んです」

――経営者にも脳教育が効果的だと聞きました。
「私たちの脳は、新皮質、旧皮質、脳幹の三層構造になっています。韓国ヒュンダイグループ創設者の故鄭周永氏や米マイクロソフト創業者のビルゲイツ氏は、脳の三層のうち、脳幹をうまく活用して成功したとされます。脳幹には、『原始情報』というものが備えられています。誰かに習ったのでもなく、また、誰かを真似たのでもない情報です。脳教育を受けると、脳幹の機能と原始情報をたくさん引き出せるようになります。それによって、情報や感情の奴隷ではなく、自ら脳の主人になれるのです」