吐くときに天と地に感謝!李承憲氏の「呼吸法」

一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏の脳教育トレーニングの基本となる「呼吸」について考えてみましょう。

慢性的なストレスは、さまざまな体調不良を引き起こす恐れがあります。ストレスを長引かせず、いかに抑えるかが、健康づくりには大切。とはいえ、ストレスを生みそうな状況に直面しても、人によって反応はさまざまです。負担に感じる人もあれば、何とも思わない人もいます。

李承憲氏は、怒りや不安などの感情を鎮め、過敏になった神経を落ち着かせることで、ストレスを上手に取り除くことができるといいます。その最も良い方法の一つが、呼吸法です。へその下の丹田を意識しながら呼吸する丹田呼吸を行うことで、心と体の平穏を取り戻すことができます。

丹田呼吸をすると、横隔膜の動きが大きくなり、肺はさらに大きく拡張します。この結果、より多くの酸素を吸い、二酸化炭素を吐き出すことができます。これにより、臓器の老廃物が取り除かれ、血液の循環が改善します。

とはいえ、浅い呼吸をする習慣が身についているしまっている人が深い丹田呼吸をするのは簡単ではありません。李承憲氏は、「喜びと感謝の心に満ち溢れた状態で呼吸すればいい」とアドバイスしています。「息を吸うときは私たちの体に感謝して、息を吐くときは天と地に感謝する」(李承憲氏)ことで、楽しい気持ちでラクに呼吸をすることができます。

深い呼吸を実践すれば、心拍数や血圧、そして脳波も意識的に整えることができます。日々の呼吸を変えることで、カラダも心も脳も変えることができるのです。

一指 李承憲著『脳がわかると人生は変わる』より

脳トレーニングの呼吸法で治癒力アップ

~一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)著『脳がわかると幸せが見える』から要約~

脳トレーニングの目的の一つは、免疫力を高めることです。脳トレーニングの呼吸法で、人間が本来持っている自然治癒力を取り戻して下さい。

科学や医学は日々進歩しているのに、人間の病気の種類は増えています。平均寿命はのびていますが、病気に苦しみながら生きている人が大勢います。長い寿命がすなわち健康な人生とは限りません。

野生動物も病気にかかります。しかし、病気が原因で死ぬことはあまりありません。病弱になり始めるころには、もうすでに他の動物に食べられるか、自分で治癒するからです。野生動物には、水や太陽、泥、植物などを利用して自ら病気を治す自然治癒力があります。たとえば、ケガをしたときは傷口を舌でなめたあと日差しに照らし、皮膚病になったら泥で洗います。

人間が様々な病気に悩まされる理由は、自然治癒力の低下です。もともと、人間もすばらしい自然治癒力を持っています。しかし、環境ホルモンで汚染された食品や化学物質に満ちあふれた生活環境、日々のストレスなどによって、免疫力が弱くなるのです。

自然治癒力を高めるうえで大切なのは、「感覚」の目覚めです。体が発するメッセージを敏感に感じとり、迅速に反応する脳の感覚が必要です。

感覚を目覚めさせるのに役立つのが呼吸法です。呼吸がしっかりとできていれば、体内のエネルギー循環がスムーズになり、体の機能が活性化されます。その結果、自然治癒力も高まります。

呼吸法のなかでも、イルチブレインヨガの脳トレーニングの一つである「精充呼吸(せいじゅうこきゅう)」は、呼吸によって感覚を目覚めさせるのにたいへん有効です。

精充呼吸は、尾てい骨を前方上の方向に引き上げながら行う呼吸法です。尾てい骨を巻き上げるようなイメージで、吐き出す息にしっかりと集中します。精充呼吸によって脳の感覚が目覚め、体の全体的な機能が活性化し、自然治癒力が高まります。

深い呼吸を通じて、体や心をよい方向へ変えていきましょう

「呼吸は意識しなくてもおのずと行なわれます。しかし、自律神経の統制を受けていながらも、人体のほかの作用とは違って私たちが意識的に調節することもできるのが呼吸です。呼吸そのものほど簡単ではありませんが、呼吸を深くすることによって血圧を下げたり、心拍数を遅くしたり、脳波までも意識的に変えることが可能です。これは、私たちの体と心が互いに密接につながっているためです」

李承憲氏が、呼吸を変えることでどんなメリットがあるのか教えてくれています。

呼吸は誰でも、毎日無意識に繰り返していることですが、
最近、呼吸法を詳しく知りたいと感じて書籍を求める人も増えています。
呼吸法を変えることで、健康をはじめさまざまなメリットがあることに
人々が気づきはじめているのです。

呼吸を深くすることは、誰でもできることです。
そして、李承憲氏が書いているように、脳にも体にもよい影響を及ぼします。
毎日続けていることだからこそ、呼吸をもっと大事にして、
深くて充実した呼吸を繰り返すようにしたいものです。

一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)著  『脳がわかると人生は変わる』 ビジネス社、2007年発行、40~41ページより引用