私の体は私ではなく私のもの

脳教育者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏は、人間の意識と肉体の関係について、「私の体は私ではなく、私のものだ」という考え方を提示しています。

誰でも自分に対してネガティブな感情を抱くことはあるでしょう。自分に腹が立ったり、自分の人生がみじめだと思ったり。李承憲氏は、そんなとき、「自分」とは何なのか眺めてみるべきだと言います。否定的な感情の対象となっている「自分」は、ほんとうの自分ではなく、自分の「名前」「年齢」「職業」といったラベルであるはずです。

李承憲氏によれば、名前、年齢、職業といった属性は、単なる「情報」に過ぎません。あなたが信じる宗教や神も、あなたを構成する情報の一部です。これらの情報が、あなたを生んだわけではありません。あなたを構成する情報はあなたが生まれてしばらく経ってから形成され始めました。

そして、自分の「体」も実は、あなたそのものではないと、李承憲氏は指摘します。あらゆる幸不幸の感じは、私たちが自分自身を自分の体と同一視することによって生じます。「体という形象とその上に被せられた情報の塊である自分の人格が悲しかったり、挫折したり、憤ったりする」(李承憲氏)のです。

李承憲氏によると、「私の体は私ではなく私のもの」と言う時、「私」は、独り自ら存在する永遠な生命を指します。道、自然、真我、あなたがそれを何と呼ぼうと関係ありません。これはあなたが理解しようがしまいが関係なく、それ自体で存在するのです。

人生における「成功」と「完成」~李承憲氏が唱える“絶対的な価値”とは

脳教育者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏は、人生における「完成」こそが、私たちが目指すべきゴールだといいます。「成功は、ほかの人と比較する相対的な評価だが、完成は、自身の良心を基準とした絶対的な評価だ」と李承憲氏。「完成」のための脳教育の必要性を唱えています。

李承憲氏によると、「成功」と「完成」には明らかな違いがあります。成功とは、他人との競争の結果、富と名誉を積みあげることです。これに対して、完成は、自らの人生の目的を知り、その目的に忠実な人生を送ることです。

ランニングに例えれば、成功は先着順を争うレースであるのに対して、完成は参加者それぞれに優勝カップが用意されています。他の人と競争しながら突き進むのでなく、互いに助け合いながら進むのが、完成への道なのです。

私たちが存在する宇宙にとって、<自分の完成>と<全体の完成>は同じだと李承憲氏は指摘します。そのことを悟った人は、「全体的な生命にとって有益な生き方を選択するようになる」といいます。そして、「完成への渇望と意志を内側に秘めているからこそ、私たちは絶えず変化でき、自らを再創造できる」(李承憲氏)のです。

世界的なベストセラー著書『セドナ・メッセージ』で、李承憲氏は「私たちには内面の完全性があり、また、その完全性に辿り着こうとする意志がある」と記しています。だから、人間は偉大であり、いつでもいっそう偉大になれるのです。

目標を掲げ、脳の変化を引き寄せる~李承憲氏

脳教育者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏によると、脳には「変化しにくい」という特性と、「変化しやすい」という特性の両面があるといいます。その二面性をしっかりと認識したうえで、脳に大きな変化を起こすべきです。

私たちの脳は絶え間なく変化しています。外部から新しい刺激を受けると、それに対応する脳回路がつくられます。

その一方で、いったん脳回路が作られると、それ以降、同じような刺激が外部から入って来たときは、同じ回路が処理を行います。これが繰り返されるごとに、その回路は強くなり、やがて習慣となります。習慣化することで、脳は効率よく情報を処理します。

習慣として作動するようになった脳回路は幅をきかせるようになります。自分で何かを「変えるべきだ」と考えても、脳はそれを誤った信号として受け止め、同じ脳回路を使おうとします。そのほうが、脳にとってはラクだからです。これが、多くの人が思うように変化を生むことができない理由です。

しかし、小さな変化でも脳に起こすことができれば、その変化は別の脳回路にも影響を及ぼし、また次の変化を招きよせます。強い意志さえあれば、ドミノ倒しのように脳に変化をもたらすことができるのです。

自分の目標さえしっかりしていれば、脳に変化は起こせるはずです。だから、李承憲氏は「目標を持とう」と訴えます。目標が明確でなければ変化の方向をつかめず、脳はそれまでの習慣に執着しようとします。まずは、はっきりとした目標を掲げることが大切です。

情報の奴隷になるのか、主人になるのか—李承憲氏が問う「選択」

脳教育者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏によると、人間の体は、肉体、エネルギー体、情報体の3つで成り立っています。この3つの体(body)を連携させ、活性化することで脳を変化させることができます。

3つの体のうちでとくに大事なのは、情報体です。私たちの感情は、情報の変化によって起こるものです。幸福や不幸を感じる気持ちも情報によって引き起こされます。自分の脳にどんな情報を与えるのかによって、心の状態は変わります。

李承憲氏は、人間の価値は、その人の脳にある情報の質と量によって変わると言います。脳にどんな情報があるのか、その情報をどう処理するのかで、考えと行動が決まるからです。

李承憲氏は著書『BOS 脳の中の偉大な革命』の中で、次のようなエピソードを紹介しています。ネイティブアメリカンの部族長がある日、孫にこう尋ねたそうです。「心の中には善いオオカミと悪いオオカミが住んでいて、2匹はいつも互いに戦っている。どっちのオオカミが勝つと思う?」。そして、こう続けました。「自分がエサを与えたオオカミが勝つんだよ」。

自分の中のオオカミに対して、エサを与えるのは自分自身です。自分の中には、肯定的な情報と否定的な情報がいつも混在していますが、どちらを選ぶかによって、生き方が変わります。どちらを選択するかは自分次第。情報の奴隷になるのか、それとも、主人になるのか。その選択こそが、運命を大きく左右するのです。

「すべての秘密が脳にある」~李承憲氏の脳教育

脳教育者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏は、30年前に大きなことを学んだといいます。それまでは、大きなビジョンも大きな夢もなく、同じことを繰り返すだけの日々を過ごしていたのが、「脳」の使い方を知ることで、人生が大きく変わったのです。

このころ、李承憲氏は「私がなぜ生まれたのか」「私がこの世に来た目的が何なのか」という大きな疑問を持ち、考えぬいたあげく、問題は「私」にあることが分かったといいます。「私が一体誰なのかという切な疑問から始まり、私自身を分かるようになった」(李承憲氏)のです。

それ以来、李承憲氏は自らのビジョンの実現に向かって脳を100%集中させました。日々トレーニングを重ね、さらに、その成果を他の人に分かち合うようになります。ある早朝の日、公園で出会った人にブレイン体操を伝えたことがきっかけとなり、その輪がみるみるうちに広がっていきました。これがやがて「脳教育」として世界中へと普及していったのです。

こうした自らの経験から、李承憲氏は「人は志を立て、信念を持てば、ビジョンが生じ、その時、脳は強く反応して動き出す」と言います。「私」の人生のすべてをかけても惜しくない何かが生じるとき、未来は変わってくる。「すべての秘密が脳にある」のです。

李承憲氏によれば、世界平和のカギも脳にあります。国と民族、思想と哲学、宗教もすべて脳に中にあり、世界が平和にならない理由は、人間の脳の中に入っている情報が互いに異なるからです。今日の人類文明を作ったのが脳の創造性であるように、当面の人類の問題を解決する方法も「脳」にあります。

一指 李承憲著『BOS 脳の中の偉大な革命』より

脳に「いい情報」を与え、豊かな生活に~李承憲氏の脳教育

脳教育者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏によると、脳が物事をいかに解釈するかによって、私たちの幸福感も心身の健康も、大きく変わり得ます。

米国の名門ハーバード大の学術実験では、頭痛に効果がないはずの薬でも「効く」と信じて服用すると、頭痛の症状が軽くなるという結果が出ました。実験では、本物の頭痛薬と、偽物の頭痛薬を飲んでもらい、その結果を比較。すると、本物の薬を飲んだときだけでなく、偽物の薬を本物だと思い込んで飲んだときでも頭痛が軽減しました。逆に、本物の薬なのに「偽物」だと思って飲んだときは、頭痛改善の効果が少なくなりました。

こうした現象は、「プラシーボ効果」と呼ばれます。プラシーボ効果は、脳がどのような情報を信じているかによって、結果に大きな違いが出ることを示しています。

逆に、脳が悪いことを信じると、悪い影響が出ることがあります。これを「ノーシーボ効果」と呼ばれます。例えば、数人が食事を共にした後で、そのうちの一人が「食べ物が腐っていた」と言ってトイレに駆け込めば、他の人も吐き気をもよおしたり、お腹が痛くなったりすることがあります。

脳教育では、このような脳の特性を利用し、健康や幸福度をアップさせることを目指します。脳に与える情報を変え、さらに、脳の受け止め方を変えることで、私たちの生活はずっと豊かになります。

脳教育で情報選択力をアップし、創造人生へ~李承憲氏

脳教育者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏は、脳の上手な情報管理により、より創造的な人生を歩むことができると指摘しています。

私たちが食事中にイヤな話を聞くと、食欲がうせることがあります。それまで美味しいと思って食べていたのが、急に食べる気をなくします。逆に、元気がなくて落ち込んでいるとき、励ましの言葉を投げかけられると、急にやる気が出ることがあります。こうした現象は、脳が外部からの情報に対して、敏感に反応する結果です。

李承憲氏によると、私たちの脳は刺激にとても敏感で、外部からの情報に影響されやすいです。だから、脳にインプットされる情報を選択すれば、脳の働きをより良い方向へと導くことができます。

脳教育では、「情報管理」といって、外部から入ってくる情報の中から、自分にポジティブな影響を与えるものを選択する術を学びます。どの情報が良い情報なのかを選ぶ判断力と、取捨選択する力を養うことで、脳がより創造的な力を発揮できるようにするのです。

李承憲氏の脳教育を語るうえでもう一つ欠かせない観点が、脳の可塑性(かそせい)です。私たちの脳のネットワークは、絶えず新しく作られたり、なくなったり、切れたりしながら、変化していきます。このおかげで、人間は環境が変わっても適応できる生存能力を発揮できます。脳教育では、この可塑性を活かして、年齢に関係なく、脳にプラスの変化を生むことを目指しています。

脳教育はなぜ「体」を重視するのか?~李承憲氏の健康論

一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏の脳教育では、体に働きかけて脳を活性化させ、健康や幸福を実現するというプロセスを重視しています。

私たち人間は、大きく分けて「体」と「脳」を持っています。このうち、歴史上、先にできたのは、体です。単細胞が多細胞を作り、多細胞の集団がだんだん複雑になって出来あがったのが脳です。つまり、体が先にあって、体の必要に応じて脳が後から作られたのです。

人間の脳が今のように発達するまでには、とても長い時間がかかりました。脳は私たちの体をコントロールする司令塔ですが、今でも、脳がすべてを行っているわけではありません。体は脳と緊密に協力しますが、自ら判断して調節する独自の機能もあわせもっています。

こうしたことをふまえ、李承憲氏の脳教育では「脳の発達は全面的に体を通じてのみ達成する」と考えています。五感の刺激が体を通じて脳に伝達されてこそ、その刺激に対して脳で反応する体系が作られて強化される。だから、体を通さずには脳を開発できない—-という考え方です。

李承憲氏の脳教育プログラムでは、感覚体験を通じて「体」に働きかけ、それによって脳機能を活性化させていきます。体と脳には絶えず刺激と反応のやりとりがなされ、互いに直接的な影響を与えます。だから、体を鍛えるのは、脳機能を活性化することであり、体の管理法はそのまま脳の管理法にもなるのです。

李承憲氏は「体を使う原理を知り、それにしたがって体を使えば、体の機能効率が良くなり、脳機能も向上する」と言います。体あってこその脳であり、体と脳が一体となってこそ、真の健康を手に入れることができるのです。

一指 李承憲著『脳教育原論』より

脳教育で「良心を基準に生きる人材」を育てる

一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏の脳教育を一言で表現すると、「良心にしたがって生きる力を育てる教育」です。

そもそも脳とは、情報を処理する器官です。五感から入って来た情報を処理し、それをもとに体に指令を出しています。だから、情報を上手に処理できれば、脳を上手に活用することができるはずです。

ただし、大事なのは、情報を処理する際の「基準」であると、李承憲氏は言います。人間が情報を処理する際に、どうしても「感情」「欲望」「利己心」を基準にしがちです。しかし、感情によって情報処理をしていると、理性的な判断ができなくなります。また、欲望や利己心を基準に情報処理していると、ほんとうに幸せになることはできません。

そこで、李承憲氏が強調するのが、「良心」を情報処理の基準にすることです。良心に基づいて情報を処理すれば、正しい行動を起こすことができます。

脳教育では、脳の中にある良心を目覚めさせ、良心を尺度にして情報を選択し、判断していく術を学びます。さらに、良心というものを頭で理解するだけでなく、それを行動に移すことを重視しています。知識を得るだけでなく、体の感覚を磨き、「体験」を積み重ねることの意義が強調されています。

李承憲氏は著書『脳教育原論』の中で、「人間の無意識層までを含む体験情報が知識情報と結合する時、実質的に価値を実現する力を発揮できる」としています。体験を重んじることで、健康、幸せ、平和の実現に資する人材を育てることができるのです。

脳教育で人間性回復の時代を築く

脳教育者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏は、現代社会を「人間性喪失の時代」ととらえ、失われた人間性を取り戻すための手段として、脳教育の普及に取り組んできました。

人類の文明の進化をもたらしたのは、科学と教育です。この2つは両輪となって、私たちに物質面での豊かさをもたらしました。しかし、いくら物質的に豊かになっても、地球上から戦争や飢餓はなくなりません。むしろ貧富の格差は拡大し、国家や宗教間の紛争も絶え間なく続いています。地球環境の悪化や生態系の破壊も、深刻さを増しています。

そんな時代に、李承憲氏が提唱するのが、従来の教育や科学の枠を乗り越えた「人間性回復」の取り組みです。現代社会で失われた良心を取り戻し、弘益精神を回復することで、人間一人一人が自分の「脳の主(あるじ)」になる。それによって、行き詰まりを迎えた物質文明にかわる「人間性回復の時代」を迎えることができるのです。

李承憲氏は著書『脳教育原論』の中で、「(人間性)喪失から始まるあらゆる問題の答えは私たちの脳にある。(人間性を)回復し、脳の主人になれば、その答えを探すことができる」と語っています。

李承憲氏の脳教育は、脳科学(神経科学)を基盤にしながら、生理学、心理学といった現代科学を網羅。さらに、こうした科学に東洋医学や感性を磨く教育を加え、より総合的な人間を育てるというプログラムです。まさに、科学や学術の垣根を越えた取り組みなのです。