脳教育者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏によると、私たち人間の行動の大半は「習慣」にもとづいて行われるといいます。
山を歩く人たちが何度も踏んだところが道になるように、私たちの脳では、ある考えや行動を繰り返すと、それを処理する脳回路が作られます。いったん脳回路という道がつくられると、その道に入ってくる情報は、自動的に同じように処理されるようになります。これが、習慣のメカニズムです。
いったん脳回路によって習慣がつくられると、その通りに行動するのは簡単ですが、変えるのはたいへん難しくなります。習慣を変えるためには、その脳回路を遮断するか、新たな脳回路を作るしかありません。このうち、より簡単なのは、新たな脳回路を作るほうです。
例えば、タバコをやめたいときに、「タバコは体に悪いからやめよう」と考えると、吸いたいという欲求と衝突することになります。これが禁断症状です。一方、新たな脳回路を作るのは、脳の抵抗を受けずに済みます。健康のために運動を始めて、いつの間にかタバコを吸わなくなっているというのが、このパターンです。
脳回路を新たに作るにも、着実に続ける意志が必要です。少なくとも3週間以上かかります。脳に新たなニューロンが作られるのに、その位の時間が必要だからです。さらに、これが安定するまでは、もう1~2か月かかります。
李承憲氏は「自分の意志で新たな習慣を作っていく人が成功する人だ」と言います。新たに挑戦しようとすれば、最初は脳が驚いて抵抗しますが、抵抗よりも強く意志を立てると脳は意志に順応します。新しい習慣を作ることの積み重ねが、真の幸福や成功へとつながります。