魂の成長を達成するために不可欠な徳目として、2つ目に挙げたいのが「誠実」です。
誠実とは、自分に与えられた役割を果たすために最善を尽くすことです。自分の信念を貫くために心の限りを没頭することです。それは、心のこもった真正な態度として表現されます。
誠実な人は、自分がしている仕事に意義を見出すことができます。その意義を現実化するために、それぞれの瞬間に心を尽くします。
意義は、物質的なものでなく精神的な面が重要です。精神的な意義を見出せるような仕事をするとき、つらいこともつらく感じず、魂が成長するひとつのプロセスだと思うようになるからです。
誠実でいるためには、他のことに振り回されない集中力と一貫した意志が必要です。これを「一心」、または「恒心」といいます。
ある武士は若いころ、剣術を習得するために、木刀で大きな岩を毎日叩き続けたそうです。早朝から夜暗くなるまで休みなく振り下ろし、手にはぶあついタコができました。何本も木刀が折れました。
数カ月たったある日、思い切り木刀を振り下ろした瞬間に、岩が真っ二つに割れました。岩も割るほどに集中した力が、そうさせたのです。この武士のような岩の硬さにも勝る集中力と一貫した心。これが恒心です。
誠実は習慣であり、1日や2日で奇跡的に現れるものではありません。長い時間をかけて日々の行動によって身につけなければなりません。