人生の5つの問題~真の名誉は自分を認めること

私たちはいつも「人に認められたい」と思っています。子供のときは両親に愛されるように立ち振る舞います。学校では先生に褒められるために一生懸命勉強します。大人になると、会社の優秀な人材として認められるために努力します。結婚したら良き伴侶として、子供たちからは良き親として認められようと毎日汗を流します。SNSにアップした近況や写真に対する「いいね!」の数だけ、私たちの自尊心が高まります。こうした「認められたい」という気持ちは、一種の名誉欲だといえます。

他の人から認められ愛されるために必死に努力するのに、自らを認め愛することは疎かになりがちです。いくら人から認められても、自らを認められなければその人は不幸な人だといえます。誰かに認められたり成功を通して得るエネルギーだけでは、胸の虚しさをいくら埋めようとしても絶対に埋まらないからです。自分を認め、愛するときにはじめて永遠のエネルギーの源があなたの中であふれます。自分を認めることで感じられる喜びは、人に認められて感じる喜びとは比べられないほど大きいです。

自分自身を認め愛するためには、自分の本当の存在価値が何なのかを見つける必要があります。真の存在価値は、他人と競争して達成できるものではなく、自分の人生だけが発揮できる絶対的な価値です。その価値は、私たちの胸の中にある魂のエネルギーを成長させ続け、根源的な満足と喜びをもたらしてくれます。

ゆっくり両手を胸に当ててみましょう。そして自分自身にこのように話かけてみてください。「私には私がいる。私にはいつでも私を見守ってくれる私がいる。どんなことがあっても私の味方になってくれる私、それは私の魂で、真我だ」。心を込めて話しかけると、魂のエネルギー、生命のエネルギーが生き返るのが感じられるでしょう。

人生の5つの問題「お金」~何のために稼ぐのか

お金は本来、価値を計る手段や交換の手段でした。それが現代社会では、お金が手段ではなく目的そのものになってしまっています。どれくらい多くのお金を稼ぐのかによって自分の価値を計り、能力を評価するようになっています。物質的に豊かになる一方で、お金のために苦しめられる人も多くなっています。

お金の主になるためには、基本原則を守る必要があります。その原則の一つは、価値の優先順位を守ることです。お金を得るために自分が決めた価値を曲げないようにするのです。例えばお金を稼ぐときにいつも正直、誠実、憐れみの心で行動すること、人を傷つけないこと――などです。

もう一つは、お金に対し良心が満足し脳が納得するくらいのはっきりした目的を持つことです。お金を稼ごうとする目的が、単に自分と家族の利益のためだけでなく、コミュニティやさらにはより多くの人の役に立とうとする思いがあるなら、その人はスピリチュアルマインドがあるといえます。

お金自体は善でも悪でもありません。大事なのはそのお金を使う人の意識です。善良な意識の人のお金は、他の人々と社会を有益にするために使われるだろうし、貪欲な意識の人のお金は、他の人々の幸せを踏み荒らし続けるでしょう。いい人やいい団体にお金が集まれば集まるほど、この世の中を変えるエネルギーは、さらに強まります。

人生の5つの問題「性」~多元的な交流と創造力への転換

性欲は私たちが経験する最も強い渇望の一つです。動物的な本能であると同時に、神聖さ、高貴さを示すものでもあります。

宇宙の万物には陰と陽という2つの力があり、常にバランスをとっています。人間も同じで、女性は陰のエネルギー、男性は陽のエネルギーをもっていて、お互いに補完しあっています。一方がもう片方を求めるのは自然の理です。陰が陽に出会い、陽が陰に出会って一つになるとき、新しい生命体が誕生します。

人間社会には、性というものに罪悪感をもたせる風潮がありますが、人間の天性はどれもごく自然なものであり、「低俗」や「高貴」といった修飾をつける筋合いのものではありません。すべての生命は性から始まるのであり、性関係がなければ私たちはここに存在していません。

ただ、性行為によって他人を支配しようとしたり、欲望のままに行動したりすれば、他の人を傷つけることになります。性の中毒は人間関係を壊します。

人間は3つの身体である肉体、エネルギー体、情報体をもつ多次元な存在です。性関係も単に肉体的な欲求を満たすための次元で終わるのではなく、互いへの尊重と開かれた心を通して、エネルギー的、スピリチュアル的な交流へと広げるべきでしょう。

性のエネルギーを他の活動へのエネルギーに変えることもできます。創造的でやりがいのある仕事に打ち込んだり、身体を動かす運動を通して身体のエネルギーがよく循環すれば、性の欲求を上手にコントロールしやすくなります。

活動エネルギーに転換された性のエネルギーは、人生への情熱と生活に活力をもたらします。美術、執筆、音楽のような創作活動だけでなく、肯定的な社会生活の土台にもなります。

健康の原理「水昇火降」

健康の原理の一つに「水昇火降」(すいしょうかこう)があります。これは、文字通り、体の中で「水が昇り、火が降りる」という意味です。水のエネルギーが上に昇って頭を冷やし、火のエネルギーは下に降りて下腹が温まっている状態を指します。水昇火降の状態だと、人体は正常なエネルギー循環ができています。

水昇火降の現象は自然界でも見ることができます。太陽の放射熱が大地に降り注ぐのは「火降」です。太陽熱によって加熱された水が水蒸気になって空に昇っていくのは「水昇」です。下降する火と上昇する水の作用で、地球上では絶え間なくエネルギーが循環しているのです。

人体では、火のエネルギーは心臓から発せられます。一方、水のエネルギーは腎臓が担当しています。

まず、火のエネルギーが心臓から降りて下腹に集められ、全身に循環。その熱が腰の方に流れて腎臓を温め、腎臓にある水のエネルギーを押し上げます。頭に昇った冷たい水のエネルギーは頭と心臓、肝臓の火のエネルギーを下降させ、下腹のエネルギーをさらに熱くします。

水昇火降がよくできるようになると、頭がすっきりして集中力と記憶力が高まり、創造力も最大限に発揮できるようになります。同時に、下腹が温かくなって内臓の働きが活発になります。

反対に水昇火降の状態でないと、熱いエネルギーが頭に集まって、頭痛・口の渇きが起きます。心拍が不規則になったり、疲れてイライラして首と肩がこりやすくなったりします。下腹が冷えて腸が硬くなり、便秘や消化不良も起きやすいです。手足の冷えも招きます。

水昇火降になるためには、ストレスと否定的な感情をコントロールし、丹田を強化してエネルギーが流れる道を作ることです。胸、肩、首、腰などエネルギーが滞っているところや硬い腸をやわらかくほぐしたあとで深い呼吸をすれば、頭と心臓、肝臓にある熱が下がって下腹が温かくなり、水昇火降の状態に戻るでしょう。

人生の5つの問題「健康」~目的達成のための土台

世界保健機関(WHO)は健康について、「病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること」(日本WHO協会訳)と定義しています。健康には、体と心の両方が含まれるということです。

体の健康は、身体機能とエネルギーを自分の意図どおりに思い切り使える状態を指します。これは体に支配されるのではなく、体の主になり、体を意図したとおりに活用できるという意味です。何らかの障害があったとしても、自分の体のもつ機能を最大限に活用できればいいのです。

一方、精神の健康とは、心がもつ機能とエネルギーを、意図したとおりに思い切り活用できる状態を指します。考えと感情を思いどおりに扱えるということです。心の主になれず、心の変化にあれこれ振り回されるなら、その人は精神的に健康な人とはいえません。

肉体的・精神的に健康だとしても完全に健康とは限りません。対人関係や社会活動を避けたり、社会に悪影響を与えたりするなら、健康とはいえないからです。健康な人は、円満な人間関係と社会生活によって社会の健康に役立つような存在でもあります。

真の意味での健康とは、肉体、エネルギー体、情報体の3つの身体がすべてバランスのとれた最適な状態になっていることです。自分が誰か、人生の目的は何かを正しく知り、その目的を達成するために、心身の機能とエネルギーを十分に活用できるのが、ほんとうの健康状態といえます。

人生の5つの問題

私たちの人生には、「健康」「性」「金」「名誉」「死」という5つの問題が常につきまといます。この5つの問題によって、泣き、笑い、傷つきながら、追いつ追われつ人生を生きていきます。これらに上手に対処することは、魂の成長に不可欠といえます。

大事なことは、問題に引っ張られるのでなく、問題の主人になることです。いずれの問題も「現象」に過ぎません。現象の問題を解くことができるのは「原理」です。すなわち、それぞれの問題の本質を知り、原理に基づいて解決していくのです。そして、より素晴らしい目的のために管理し、活用するべきです。

5つの問題は、人間としての欲求に根差しています。私たちは、知覚と意識を発展させることで、欲求の声に支配されずコントロールできる力を育てられます。人間は欲求への渇望もありますが、欲求の奴隷にならないように、それをコントロールできる力もあります。

5つの問題が自分の肉体・精神・スピリチュアルにどんな影響を与えるのかを、はっきりと正直に見る必要があります。自分がこれらの問題に対して、意識的あるいは無意識的に避けようとしているかどうか、または、いつもこれらの問題にとらわれ、欲求を満たすためにすべての時間とエネルギーをつぎ込んでいないか。自らの状態を把握することが、解決に向けた第一歩となります。

エネルギーシステムの進化

人間のエネルギーシステムは段階的に発展し、やがて完成に至ります。下丹田の「精」が充満になると中丹田の「気」が育ち、中丹田の気が育つと上丹田の「神」が明るくなる、という順番です。これを「精充気壮神明の原理」といいます。

まず、下丹田の精のエネルギーを鍛えるためには、健康的な食事と適度な運動、そして、「エネルギー呼吸」が必要になります。エネルギー呼吸では、エネルギーの流れとともにゆっくり息を吸い込みながら下腹を膨らませ、下丹田に精のエネルギーが集まることをイメージします。息を吐くときは下腹を背中の方に引き寄せ、精のエネルギーの密度がより高まるところ想像します。一つ一つの呼吸に真心を込めることが大切です。そうするとき、下丹田に精のエネルギーがたまっていきます。

下丹田に満ちた精のエネルギーは背骨にそって胸に上がり、中丹田のエネルギーを活性化します。胸の中から純粋な愛と喜びのエネルギーがあふれていきます。このエネルギーを自分だけでなく周囲の人々にまで広げると、さらに大きくなります。

清く純粋な魂のエネルギーは、上丹田がある脳に上がっていき、神のエネルギーを目覚めさせます。上丹田のエネルギーシステムが活性化すると、神が明るくなった状態、すなわち「神明」に至るようになります。

精充、気壮、神明という過程を経て、肉体、エネルギー体、情報体はバランスよく成長できます。これを実現するために最も大切なのは、エネルギーを感じ活用する感覚を育てることです。エネルギーはこの3つの身体を互いにつなぐ媒体であると同時に、それらを発達させられる素晴らしいツールなのです。

エネルギー体

肉体は、目に見えない軽い気体であるエネルギー体に覆い囲まれています。エネルギー体は身体の内外に存在し、身体から90センチほど外側に伸びています。科学用語で生体電磁場といいます。エネルギーの活性度合いや心の作用によって、大きくなったり小さくなったり形も変化します。

エネルギー感覚が発達した人は、エネルギー体を見て感じられます。人のオーラを見るというのがまさにエネルギー体のことです。エネルギー体は、その人の精神状態をそのまま映しだしています。例えば、誰かが怒っている状態で部屋に入ってきたとしたら、何も言わなくてもあなたはそれを感知するでしょう。あなたのエネルギー体はあなたの周りにいる人々の影響を受けるため、そのエネルギーを感じられるのです。

エネルギー体は、胸の真ん中に位置する中丹田のエネルギーと深い関係があります。中丹田のエネルギーの名前は「気」といいます。気エネルギーには清濁があり、清いエネルギーは周囲に大きく広がりますが、濁ったエネルギーは停滞し、胸のエネルギーの流れを妨げます。

気エネルギーの清濁は、心の状態に影響を受けます。心が開かれ肯定的ならば、エネルギー体も同じく活性化されます。心が閉ざされていると、気エネルギーの流れも滞ります。

気エネルギーが活性化すればするほど、外部からエネルギーをもらう必要がなくなり、むしろ内側からポジティブなエネルギーが外へと満ち溢れ、周りの人たちにもプラスの影響を与えます。

このため、中丹田のエネルギーが活性化すると、人間関係が円滑になります。このような状態を気エネルギーが成長したという意味で「気壮」と呼びます。

3つの体と肉体の健康

「あなたの体はいくつありますか?」
この突拍子もない質問に、あなたは当然「ひとつ!」と答えるでしょう。

あなたが生まれたその瞬間、あなたには肉体がありました。でもそれだけではなく、その肉体を動かす「エネルギー」があったでしょう。そして、そのすべてを見守っているあなたの「意識」があったはずです。

エネルギーと意識も、肉体と共にあなたを構成するまた別の2つの身体だと考えられます。そのような意味では、人間には3つの身体があります。「肉体」「エネルギー体」「情報体」と呼んでもいいでしょう。

肉体もエネルギー体も情報体もすべてエネルギーで構成されています。それぞれが持つエネルギーの性質によって、3つに分かれています。グラスに入った泥水が時間の経過とともに、土と水にわかれるのと一緒です。人間の中でも、密度の高いエネルギーは肉体になり、上に浮かんだ水のように軽く澄んだエネルギーは情報体になりました。そして肉体と情報体をつなぐ橋としてエネルギー体が存在しています。

この3つの体は、体内のエネルギーの中心である丹田とつながっています。肉体が下丹田、エネルギー体が中丹田、情報体が上丹田です。このうち、下丹田は下腹部に位置します。

肉体を鍛えるうえでは、下丹田を強化し、精のエネルギーが充満な状態を作ることが、最初の目標になります。この状態を「精(せい)充(じゅう)」といいます。精充は、肉体を健康へと導きます。

精充になると、力強い中心から全身へとエネルギーが円滑に循環し、肉体的な活力が強まり、免疫力も高まります。

生活勉強~悟りの実践

もし悟ることができたら、それで終わりでしょうか?もう努力しなくていいのでしょうか?

答えは「NO」です。現実に影響を与えられない悟りは、本物の悟りではありません。理想だけを追うのではなく、現実に根を下ろし現実を変えられるのが、真の悟りです。

現実に影響を与えられない悟りは、実を結べずに枯れてしまった花に例えられます。実がないというのは現実的な影響力がないということであり、その悟りのエネルギーが及ぶ範囲が小さいことを意味します。

山で1人瞑想にふけるのも、半分の悟りです。マザー・テレサ、ガンジー、ダライ・ラマなど多くのスピリチュアル・リーダーは、外の世界で交流しながら社会のために日々絶え間なく精進してきました。本物の悟りなら、その悟りのエネルギーが世の中に、人々の中に流れていかなければなりません。

そこで必要になるのが、3つ目の「生活勉強」です。生活勉強とは、悟りを社会の中で実践し、現実化する過程になります。1つ目の原理勉強で生命の原理を悟り、2つ目の修行勉強で生命のエネルギーをいっぱいに満たし、生活勉強で生命のエネルギーを分かちあうのです。

生活勉強での「生活」とは、朝起きてから夜眠るまでのすべての行いを指します。「行住坐臥語黙動静」という言葉のように、行く、留まる、座る、横になる、話す、黙る、動く、そして、静かにしているときまで、私たちがするすべての行いです。生活勉強で「行動」が変わるとき、人生に本当の変化が起こります。