「エゴの目」から「道の目」へ

「あなたは、楽観的ですか、それとも悲観的ですか?」。もし両方だと思うなら、別の尋ね方をさせて下さい。「デフォルト・モード(規定値)はどちらでしょうか?」。

いま、家の外から聞いたことのない大きな物音がしたとします。あなたが最初に思いつくのはどのようなことでしょうか?その物音は、空からお金の入ったカバンが落ちてきた音かもしれません。しかし、普通はそのような楽天的な見方はしないでしょう。

これが脳のデフォルト・モードです。心理学では「負のバイアス」として知られています。警戒の状態であり、悲観的な予測の一種です。人間に組み込まれたこの反応は決して悪いものではなく、人類は自分たちの生存を脅かす物事(ストレス)に対して自分たちを守ることを進化の過程で学んできました。

脳がいったんストレス反応モードになると、その人の関心はいかに生き残るか、勝つか、「相手」を倒すかということに集中します。このモードにおいては、私たちは皆それぞれ、異なる存在であり、他者(自分以外の世界)は潜在的脅威です。よって、彼らを倒すためには彼らより強くならなくてはなりません。

しかし、世界中でさまざまな問題が起こっている現状を目撃している私たちは、この見方が正しく妥当なものであるかを再検討しなければなりません。

相互に敵視し、脅威である別個の存在の集まりとして世界を見る目から、全体の中で分かち難くつながった存在のネットワークとして世界を見る目への転換が必要になっています。私はこれを、エゴの目から「道」(TAO)の目への転換と呼んでいます。

全てはつながっており、別個の存在というのは幻想です。私たちはバラバラの存在ではなく、全体として進化しながら生きているのです。

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速度を落として、方向を見直そう

現在の文明が幕開けて以来、人類は物質文明の発展の道を進んできました。最初は歩いていましたが、間もなく走り出しました。走者は時代に応じて変わりましたが、走る方向は変わらないまま、走り続けています。

産業と技術、文明の発展のスピードはどんどん速まり、私たちは当然のごとく列車に乗ったままです。しかしそれは、正しい方向に向かっていると確信しているからではなく、ほかに行くべき道がないように見えるからです。

だれもが不安を感じ始めています。「自分たちが乗っている列車に運転手がいないなんてことはあるだろうか」と。列車の窓から見える景色はますます荒涼としてきており、列車の速度は速くなるばかり。このままでは山に衝突するか、崖から転落するのではないかという恐れが広がっています。

列車はすぐに止まることはできません。手遅れにならないうちに、私たちはスピードを落とし、自分たちの現在の居場所と目的地を確認しなくてはなりません。

かつて老子は「方向を変えなければ、今向かっている場所で終わってしまうかもしれない」と言いました。その言葉に私は賛同します。私たちは、自分たちの優先事項を再評価し、新たな目標を掲げ、計画を立て、行動しなくてはならないのです。

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変化が始まるとき

あなたは、どんな変化(CHANGE)を望んでいるのでしょうか?
体重を減らしたい。
よりよい仕事に就きたい。
キャリアを築きたい。
壊れた人間関係のよりを戻したい。
地球温暖化やテロを深刻に懸念して、それらを変えるために何かしたいと感じているかもしれません。

人が変化を求めるのは、生活や社会の現状に不満を抱いているからです。何かが間違っている、あるいは改善できるという思い。それは変化というよりも、本当の自分を発見したいということかもしれません。

私自身の変化も、そんな気持ちから始まりました。若い頃、私は自分がはみ出し者のように感じていました。「私はどうしてここにいるのか?」「どうして幸せではないのか?」「どうしてほかの人と違って自分ははみ出し者なのか?」

これらの疑問に何度も考えをめぐらせた末、韓国のある山の頂上で、長時間にわたる瞑想と武道による鍛錬、呼吸法、絶食による厳しい孤独な修練を行ったところ、答えが出ました。

自分は誰なのかという真実に目覚めたのです。自分が小さな、有限の存在ではなく、本当の自分は天地だということ。私の心は天地の心であり、私のエネルギーはこの宇宙を満たす天地のエネルギーであることが分かりました。

こうした経験から、私は、変化を生み出す本当の力は、自分自身に内在する偉大さから出てくると信じています。世界は今、強く変化を必要としており、私たちは皆、それを知っています。自分自身の偉大さに気づき、それを活かしながら生きていく時、自然の優しさに心を開き、身の回りの生きとし生けるものを慈しむ時、すべての変化(CHANGE)が始まるのです。

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